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◆阿闍梨餅(あじゃりもち)・末富(すえとみ) |

ガコーン、と日に何度か、冷蔵庫から音がします。そう、冷凍庫の製氷機が動いているのですね。便利な時代になりました。ほしいときに何時でも氷があるのですから。
冷蔵庫なんて、ない時代、氷は、大変な貴重品でした。冬の間にとっておいた氷を氷室(ひむろ)というところに置いておき、夏に使います。氷室とは、現在の冷蔵庫のような役割をする、貯蔵庫。山の中の涼しい所に、草や茅(かや)で覆っておき、氷を保存するのです。
御所では、陰暦6月1日を「氷室の節句」と呼び、貯蔵しておいた氷を出して、朝廷や、幕府の諸侯にふるまわれました。氷の御調(ひのみつき)という行事です。
しかし、これは、身分の高い人だけのもので、庶民には手に入りません。
京都の人々は、水無月という外郎を氷にみたてたお菓子で、涼をとり、邪気を払ったのです。
夏には、菓子銘に氷室(ひむろ)とつけたお菓子が、登場します。また、「氷」そのものも、菓子銘によく使われる名前。涼しげな意匠で、氷や氷室を表現しています。葛や、琥珀羹を使い、透明感を出し、繊細な涼しさを演出しています。
京都では、柏屋光貞の「京氷室」が有名。氷室の氷を三角の琥珀菓子にした、研ぎ澄まされた上品な美しさは、かつての氷の御調(ひのみつき)の人々の氷に対する憧れを偲ばせます。
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